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【映画】☆4 宇宙戦争

 

 

 

「世界最強の軍隊が二日でこのザマだ」

「人間はウジ虫みたいに駆逐されちまう」

 

 

 

レビュー23本目は宇宙戦争(2015)

評価:☆☆☆☆ 風邪とともに去りぬ

ちょいとネタバレあります(遅)

 

 

 

レイチェルがアップで映り始めたら耳栓の用意だ!

火星人の地球侵略に直面する親子を描いたホラーSF/パニック映画

 

 

 

あらすじ

離婚した妻が実家に帰るしばらくの間、息子のロビーと娘レイチェルを預かることになった独り身のレイ。コミュニケーションはうまくいくはずもなく、半ば放置気味で惰眠をむさぼっていたところ、前触れもなく稲妻が何度も同じ場所に落ちる不思議な現象を目にします。すべての電子機器が破壊され騒然とする通りを抜け、野次馬としてそこに駆けつけた刹那、地面を割り巨大なマシンが出現。立ち上がるや否や次々に人々を襲い、灰へと変えていきます。ひとまず無人の妻の家へと向かいますが、全土、いや全世界で侵略が始まったことを知るレイ。子供の安全の為ボストンにある妻の実家を目指し、いまだマシンが跋扈する危険な道を旅することを決意します

 

 

 

いつものダメ父親と子供。食事は作れない、子供ほったらかして寝る、アレルギーはわからない、それでも職だけはなんとか確保出来ているようです。ポリコレならぬファザコレ、父親組合か何かがカッコよくて素敵なお父さん像の創出に圧力でもかけているんですかね...

そして、とにかくレイチェルがうるさい。割りと大事な場面で鼓膜にダメージが入るレベルの金切り声をあげ、心臓にも悪いです。中盤地下のシーンではビクゥッとなりました。スピルバーグ許すまじ。今回トムクルーズが演じるのは戦うお父さんではなく、背を向けて子供を守るタイプのお父さんです。高層ビルに貼り付いたり、死に戻りを何度も繰り返して敵の親玉を潰しに行ったり、ヒトラーの爆殺を計画したりはしないのです。そこをはじめから割り切って考えないとただの無力な一市民として映り、映画に満足できないと思います。エイリアンシップの鬨よりうるさく年相応に無力なレイチェル、なにかと反抗期で冷めた態度で、逆に自分の能力を過信するロビー。そんな2人を無事元妻のもとへ届けるという無茶ぶりな任務を考えれば、展開は納得のいくものだと思いますよ!

 

 

 

 

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これだけは言いたい

 

 

 

 

とにかくトライポッドがドエロい。このクネクネした細い脚(きゃく)がたまらないですね。しかも奇数で3本というあまりにもニッチな需要に答えたもの。少なくとも絶対4本で支えた方が兵器として有用だし、重心とバリアのエネルギーの問題から脚はもっと太く短くした方がいいでしょう。火星人の指の本数が3本だったので、それに合わせたんでしょうか。人間がガンダムを5本指で作るのと同じ原理なんですかね。初めて見た時はこのイカのようないかがわしいフォルムに暁天しました。火星人なのにイカ似とは、いかがなものか

 

 

 

.......はい、3本脚のロボットというと浅学すぎてこれくらいしか思い浮かびませんね。ロボット大国日本の国民がそれを言うのですから、それほどレアなんでしょう。このデザインセンスに勝てるSF映画はそうそうないですよ。遠くから「ボオ~~~~~」という音が聞こえた時点でテンションが上がってきますよ! 高度に発達したコミュニケーション技術なら1回で十分、『未知との遭遇』のように、無駄に尺を取ってバボバボ鳴らしたりはしないのです。しかし「大阪じゃ何体か倒したそうだ」は映画史に残る名言ですねえ。続く「日本人ができたんだぜ 俺たちにだってできるはずだ」というナチュラルな差別発言もアメリカらしくて好きです。宇宙戦争-OSAKA-の上映、今でも待ってますよ!

 

 

 

もちろんボストンに向かう道中、トラブルが起こらないはずがありません。いくら何でもタイミングに無理があり過ぎる死体の川流れや、プレッパーズのおじさんとのガチンコ筋肉バトルなどお笑い要素もありますが、他の多くはパニック映画の王道といえるでしょう。何重にも貼られた人探しの紙や、どこまでも続く避難者の死の行軍、乱闘騒ぎ、緊張で泣く子供、金切り声。聞けば9.11を参考にしたそうで、その迫真さには舌を巻きます

その中でも自分が一番好きなシーンはダントツ、桟橋のところです。すべての電子機器がお陀仏になった中、レイが持つ動く車には価値があります。殺してでも奪うほどに。渡ろうとする人数が多過ぎて、なかなかはけない人の列。イライラし待ちくたびれるその人の山に、車が分け入っていくところはこの作品一番の緊張ポイントだと思いますよ。はじめは物珍しそうに眺めていた人々も、3人しか乗っていない(つまりは空きシートがある)ことがわかると一斉に扉をバンバン。ついにはガラスを破壊しレイたちを引きずりだし、銃をつきつけ奪い去ってしまいます。結局怖いのは人間という陳腐な感想になってしまいますが、追いつめられた人間の行動はマジで怖い。ここだけゾンビ映画のような、別種のぞっとする感覚を味わえますね。大好きです

 

 

 

しかし冷静に考えてみると、とりあえず子供を送り届けてオワリ! というのはどうしたものでしょうかね...。無責任に押し付けようとしているようにしか見えません。あまりに希望がなさすぎてボストンは安全という妄想に憑りつかれてしまったのかな。自分としてはここが未だに納得いかないポイントです。エンディングも落ち葉舞う中再会を喜ぶ家族たちを遠巻きに眺めるというなんともしみじみしたシーンで終わり。平和は戻ったけど取り巻く環境は何一つ変わらないという、現実の無常さを思い知らされるようであります。侵略パニック映画でありがちな、とりあえずUSA! USA!で〆るかたちもこの映画はとっていません。それに間違いなく火星人も諦めないでしょうしね。手放しでは喜べない現実があります

 

 

 

そういえばずっと侵略の理由がわからずでしたが、どうも序盤の語りを聞くに地球がうらやましい、欲しかったようですね。それでも何千年も準備してあれかよという残念感はあります。あれだけの科学力がありながら、風邪ひいて鳥についばまれて野垂れ死にというのはあまりにマヌケ過ぎる。桃太郎の鬼なみにボコボコですよね。古い作品でありますし、こんなにも小さい菌が地球を救ったのだというある種の教訓的なエピソードを入れ込みたい意図でしょうから、まあここはしょうがないですね。サルを見くびってはいけない(教訓)

一時期SF映画にドハマリしたことがあって、そのきっかけになった作品がこれです。確か海底二万里(ヴェルヌ)→宇宙戦争(ウェルズ)という勘違いのせいだったと思います。そういうわけで☆5つける気満々でみたのですが、やっぱり10年以上も前だとCGが古いのと、そのせいで派手さがイマイチだったので☆4で。しかし今見ても楽しめる、名作映画だと思います。せめてトライポッドだけでも確認していただけたら幸いです。おすすめ!

 

 

 

 

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