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【映画】☆5 英国王のスピーチ

 

 

 

「私が王というのならどこに権力がある! 

 私は政府を作れるか? 私は税を徴収できるか? 戦争を始められるか?

 いいや、なのに国王は権威の象徴だ、なぜなら国王は国民に向かって話すからだ!」

 

 

 

レビュー2本目は英国王のスピーチ(2010)

評価: ☆☆☆☆☆ 何度でも見たい

 

 

 

二度目の世界大戦という局面に、吃音病を乗り越えスピーチを通して国民をまとめ上げた名君と言語療法士の奇妙な絆を描く物語

 

 

 

視聴は二度目。前回は字幕版だったので今回は吹替え版の感想を。いい映画は何度見ても素晴らしい。吹替え版で初めて気が付いたことが多く、収穫もありました

 

 

 

特に出演俳優陣の豪華さ。吹替えの声で療法士ライオネル役がバルボッサであることに気が付きました。前回ボーっと見てたのを反省してよくよく見てみると、番犬というよりネズミの小物感あふれるチャーチル(ハリーポッターシリーズのピーターペティグリュー役)や死の呪文を連発できそうな妃殿下(ハリーポッターシリーズのベラトリックスレストレンジ役)、極めつけはニワトコの杖保持者であるジョージ5世(ハリーポッターシリーズのダンブルドア役)

ってほとんどハリーポッターやないかい!

島国で大作映画に出られる実力俳優ってのはやっぱり限られるものですかね。イギリス版菊地凛子渡辺謙

 

 

 

かなりの賞を総なめにした本作ですが、自分は感動実話というよりも、この絶妙な時代におかれた王族を描いた点がこの映画の一番のお気に入りの部分です

劇中ではほんのちょっただけ言及されるだけですが、ドイツ皇帝は国民から見放され亡命、ロシア皇帝は革命によって処刑されるという『王』の存在意義自体が疑問視され始めたとんでもない時代に生まれた王族としての悩み。そして欧州に広がりつつある共産主義とナチズムの波。診療所へ向かうエレベータの中でのほんのちょっとした会話、「値段が高いのは貧民層への援助のためですって、共産主義者かしら」

 

 

 

それに吃音症と兄のスキャンダラスな恋愛→王位辞退まで加わったらもう溜まったものではありません。ジョージ6世吠えに吠えます。診療室でFワードを連発するシーンはR指定にひっかかったとかなんとか。ここは"くそったれこんちくしょう"よりも字幕版の方がストレートでよかった気がします

で、診療室から出るとどうかというと、吠えます。大事なスピーチの練習前に吠え、練習中にも吠えます。どうやら幼少期に虐待に近い環境に置かれて吃音や癇癪を起こすようになったみたい。それをさらりと受け流すライオネルもステキ。飄々とした立ち振る舞いにいつしか王も信頼を寄せるように

 

 

 

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 そこ座っちゃダメ! 殿下マジギレ

 

 

 

「昔なら国王は立派な軍服を身につつみ馬にまたがっていればよかった

 今は国民の家に出向き機嫌を取らねばならん

 王室は生ける者の中で最も卑しい存在になった。我々は役者になったのだ」

 

 

 

上に立つ者は、それを維持するために常に愚衆に媚び諂わねばならない。悲しいかな、それが民主主義なのです。パンとサーカスはラジオ放送に形を変えました。ヒューマンドラマの皮をかぶってはいますが、今でさえ根強く取りだたされる「王室不要問題」、そこにかなり深くつっこんだ内容になっております。3馬鹿首相が好意的に描かれてるのも新鮮でした(イギリス映画だったからかも)。脚色はもちろん念頭に置きながら、ぜひとも王室にスポットを当てた歴史モノとして視聴してほしい

 

 

 

2017/01/04 修正