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【映画】☆4 君の名は。

 

レビュー12本目は君の名は。(2016)

評価:☆☆☆☆ もったいない

1200年に一度地球にやってくるティアマト彗星を背景に、「入れ替わり」を通じて育まれる男女の絆の物語

結構なネタバレあり

 

 

 

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予告通りです 予告犯の記事で言えばよかった...

まず初めに謝罪しておくと、映画が始まって数分まで、主題歌はずっとBump of Chickenさんが歌っているものだと勘違いしていました。無知はこれ罪なり

諸事情あってシン・ゴジラと合わせて2回ずつ鑑賞

一番大きなスクリーンで満杯、男臭かったシン・ゴジラとは間逆に男女半々学生が大半を占めていましたー

 

 

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モミモミ

岐阜県の寒村に住む女子高生三葉と、東京は新宿に住む男子高校生瀧。接点などあるはずもない正反対の2人は、あることをきっかけに知り合うことになります。朝、起きてから自分の体をしきりにまさぐる三葉と、股間に手をやる瀧。そう、体はそのままお互いの意識が入れ替わっていたのです。そうとは知らず、妙に現実感のある夢だと自分を納得させる2人。ところが周りは彼らの豹変に敏感で、彼ら自身も不可解な記憶の齟齬から入れ替わりに気が付き始めます。

この現象のルールは3つ。寝ることがトリガーで、週に2-3度不定期で起こり、そして入れ替わっている間の記憶は目覚めれば忘れる

そんなはた迷惑な現象に戸惑いながらも、正反対の2人は「役」をうまく演じようと努力。やってはいけないことリストを作る、その日の日記をつける、まあ入れ替わりあるあるです。それでもやっぱりお互い余計なことをしてしまい、周りにドン引きされたりトラブルになったり、やきもきする日々が続くのでした

「あの女はー!」「あの男はー!」

 

 

 

 

開始早々いきなりモノローグ→音楽が流れ始めたと思ったらタイトル文字、ここでノックダウン。オープニングは今まで観たアニメ映画史上最高だったと思います。若手JPOPアーティストの起用は正直そこまで期待していませんでしたが、いやーいい曲ですねー「夢灯篭」好きになりました。続いてゴキゲンなチューン「前前前世」が流れ出し本編開始です。これからどうなるんだろうという期待は一気に最高潮に。ここは何度でも見たいですねー

 

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やっぱり新宿好きだなー。皆勤賞とまでは言いませんが、いつもの都庁やドコモタワーが上映開始1分で出現、しっかり自己主張してきます。無人在来線爆弾の総武線中央線山手線もここぞとばかりにアピール。シン・ゴジラにことごとく破壊された東京の機能が元に戻ってて安心しました。四ツ谷代々木新宿といった日本の中心/東京の中心と対照的に描かれるのが、岐阜のド田舎での三葉の暮らし。人はまばらで電車は2時間に一本、コンビニは9時で閉まり、スナックは2軒もあるのに医者もねえ、カフェもねえ、学校まではチャリで坂をぐ~るぐる。方言っていいよね。湖の周りに木造建築の古い家々が立ち並ぶ、美しい日本の光景です。山に無理やり切り開かれたぐにゃぐにゃの道は「千と千尋の神隠し」の冒頭シーンを思い出させますね

「起床」が大きな場面転換になる今作で多く描かれることになる二人の部屋ですが、瀧の部屋がベッドにフローリングにドアなのに対して、三葉の部屋が畳に布団に障子と、対極的に描写されています。この都会vs田舎は何も考えずに見ると「(東京住からすれば)こんな田舎暮らししてみたい」という感想ですが、一方地理的な隔たりを明確にしています。よくある入れ替わりものだと同じクラスや同じ学校等比較的狭い範囲で起こるものですが、この二人の物理的な距離と記憶の喪失が事態をややこしくしています。休み時間に屋上に呼び出して「あんた何してくれてんのよ」とはいかない訳です。連絡手段はせいぜい電話、主にメモ書きを通して協力していくことになります。ここは「修行シーン」と言ってもいいんじゃないでしょうか、自分が大好きなところです。先述のパターンならお互いその目で監視できるので失敗は起こりえないですが、そうはいきません。自分の高校の位置はわからず、乗り換えにも一苦労、バイトの時間に遅刻し、動きが遅いと怒鳴られる。それでもなんとか頑張ってモノにしていく姿はみていて気持ちのいいものです

 

 

 

 音信不通

 順調にいきはじめた生活、ところがある日を境に入れ替わりは全く起こらなくなります。緊急用に登録しておいた連絡先にもつながらず、むなしく過ぎていく日々。それでも忘れられない瀧は「夢で見た村」の光景を描き続け、ついにははるばる三葉のもとへ向かうことに。しかしあいまいな情報では半日かけて探し回っても手掛かり1つ見つからず、東京へ戻る時間に。ところが最後に偶然訪れた定食屋で、ある重大なヒントを得ます。それは絵の光景が、3年前に彗星の落下で蒸発した「糸守町」そっくりであるというものでした...

 

 

 

つまるところヒロインは既に故人なわけです。iPhoneのカレンダー使ってるなら西暦まで出るよなーとか、LineのUIが古いので気が付かないかなーとは思いましたがまぁ注意不足だったとのことでつっこむのはやめておきましょう。はじめの方で二者にはかなりの隔たりがあると言いましたが、それはあくまで空間的なもの、ここに時間的な隔たりが生まれるともうどうしようもありません。新幹線では3年前にたどり着けないのです。じゃあどうするの、というとそれはもう決まっています。歴史を変えてはならん!隕石が落ちることは避けられない、ならば人に当たらなければよい。その日はちょうど村の秋祭りで、彗星の破片が会場に直撃したことが未曽有の大災害になった原因でした。ここから三葉の、何も知らないで集まった無数の村人を説得し、安全に避難させるという無理難題への挑戦が始まります!

と思うじゃないですか?

 

 

 

瀧君無能すぎる

今回の現象に対して主人公の瀧君は常に置いてきぼりです。それもそのはず、未来に生きる彼が過去に対してできることなどありません。では入れ替わりを使って過去改変を行うのかと思ったらそんなことはなく、結局調べものして寝てるだけという。人格者である彼は無茶な訪問計画にもついてきてくれる友人を持っています。普通「インターネットで繋がってた女の子と連絡付かなくなったから実家まで会いに行く」なんて言い出したら、まず間違いなく全力で止めますよね。それでも同行してくれる彼らを「おまえら先帰っていいよ」と突き放して勝手に進んでいったあげく、ほぼ何もできず岐阜を去っていくのは残念過ぎる。なんで連れてきた? なんで来た? 意味がなかったと言えば言い過ぎで、実際村を訪れたというのは大きなキーポイントになるんですが、それも結果論です

 

 

 

個人的には「シュタインズ・ゲート」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のような、これから起こる事情を全て知っている彼がどうにかして村人を救おうとするアツい展開を想像していたんですがね…。そのために用意された友人らだと思いこんでいました。過去と未来、時は違えども6人の若者が協力し合って未曽有の大災害を乗り切るなんて、いい青春映画じゃないですか

だのに、一番の山場で入れ替わりが全くいかされず不満です。「言の葉の庭」っぽい、序盤に出てきたイジワルイケメンとその取り巻きも出番なし! スケールはでかいのに結局全部2人まかせです

では三葉の方はどうかというと、これもまたビミョー。入れ替わりで消失した村を目の当たりにし、そこから「私たちでなんとかせんといかん」となるのはいいです。お菓子の買い込み、秘密基地、手近な資材にちゃちな計画、「ぼくらの七日間戦争」でもおなじみ、子供だけでもなんとか知恵を絞り、(避難を誘発する)大事件を起こそうとする彼らには熱いものを感じました。制服はボロボロ自転車も壊れ、傷だらけになりながら「時かけ」のマコトのように頑張る三葉、それでも所詮は高校生3人の浅知恵、村の大人たち、特に役場は欺けず計画は失敗に終わります。万事休すかと思われましたが...

 

 

 

ここでカット!!

え? ってなりました。そこが一番大事なところでしょうに。例えて言うなら4コマ漫画の3コマ目だけ墨塗りされている感じ。エンディングはいつものって感じだったので特に感情は抱きませんでした。誰が脚本書いてもあんな感じになるでしょう。古今東西使い古された王道なんで特にコメントはありません。しかし、この一番大事なシーンがカットで後から言葉で説明するのは萎え萎え。TV番組でよくある、CM挟んだら「事件から数年後、我々スタッフは実際に...」っていうあれです。膨らんだ期待が一気に萎みました…

事故を防ぐのが主題なのではく、あくまで恋愛が主題なんだと割り切るべきでした。サマーウォーズ」は人工衛星の落下でしたが、あんな感じのアツい攻防を期待すべきではありません。ここの認識の違いは大きかった

 

 

 

オープニングを聞いときは☆5は確実で☆6まで行くかと思ったのに、なんであーなっちゃったかなーって感じです

映像とキャラデザはよかったですね。綺麗だけど彗星怖すぎ。人知を超えた不気味なでかさで、視聴者目線だと「みんな逃げてー」となります。昔の人が不吉だと思うのも十分わかります。背景なんかは特に東京に住んでるとおなじみの光景が綺麗に描かれてて嬉しいですね。どうせなら新宿の映画館行けばよかったかも。シン・ゴジラ視聴後すぐだったので、東京駅が出てきたときちょっと笑いましたが。歌挿入され過ぎで途中からAMVっぽくなってたのと、後半からオチへの話の流れ、これら以外は完璧でした。ということで☆4で。気になるなら観に行ってもいいかもしれませんよ

自分の性格としては、入れ替わっている間に隕石で片方死んで別の人間として生き続けるとか、せっかく助けたのに別の人間と結ばれてるとかそういう方面を想像してしまいますが、そんな陰湿なものじゃない、非常にあっさりした映画だと思います

体型化前の神道というか、氏神要素が強すぎて海外ではちょっとヒットは難しいかな

 

 

 

アニメ映画なんて全然観に行く気ありませんでしたが今回のでちょっと熱が出てきました。とりあえず「聲の形」は絶対にチェックしたいと思います!

 

koenokatachi-movie.com

 

 

会えっこない、でももし会えたら...