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【映画】☆4 ジョン・ウィック

 

 

 

「この世界はどこまでもつきまとう

 呪われているんだ 君も私も」

 

 

 

レビュー19本目はジョン・ウィック(2014)

評価:☆☆☆☆ 因果応報

 

 

一度は足を洗った伝説の殺し屋が、襲撃事件をきっかけに報復を決意、再びその世界に戻り復讐を完遂するまでを追ったアクション映画

 

 

 

ずっと続けていた殺し屋業から抜けるまでに愛した妻。彼女が病気で息絶え、心の支えを失ったジョンは、ただひたすらに自分の趣味、69年型マスタングを乗り回すことに没頭していました。しかし立ち寄ったガソリンスタンドで、ロシアンマフィアの一人息子、ヨセフに偶然目を付けられ、半ば脅迫気味に車を売らないかと持ちかけられます。それを無下にしたジョンですが、相手はプライドをへし折られ気に入らない様子。同じころ、亡き妻が生前内緒で手配した子犬がショップから届き、「誰かを愛することを知りなさい」というメッセージカードに号泣。"デイジー"と名付けられたその犬は人懐っこく、ジョンはそれを唯一の妻の形見として愛するようになるのでした

 

 

 

割と殺し屋稼業をやめてから普通の人間に戻るまでの描写はあっさり。妻と出会って人生が変わった。妻が実は組織の回し者で...みたいな展開を予想していましたが全くそんなことはありませんでした。それだと「Mr.&Mrs.スミス」のようなドタバタコメディに

、あるいは幸せな家庭だと思ったら全部嘘だったという、復讐が全て無駄に終わる救いようのない別の話になってしまいますからね。そんなピエロなジョン・ウィックも見てみたい気もしますが。彼が足を洗う前、全盛期には興味深い話もたくさんあり(歯ブラシで3人を殺害等)、「ジョン・ウィック ゼロ」みたいな前日譚があってもいいかもしれません

 

 

 

ところがある夜、しびれを切らしたヨセフたちはジョンの家を襲撃。ジョンはリンチに遭い、抵抗した子犬デイジーは無残にも殺されてしまいます。愛用のマスタングも盗まれ、すべてを失ったジョン。傷だらけのまま飛び出し襲撃者がヨセフであることを知ると、地下に封印してあった殺しの道具を開封。静かに怒りをたたえた彼は、単身マフィアとの対決、そしてあの夜自分の全てを奪ったヨセフと襲撃者たちへの報復を決意します

同じころ、ロシアンマフィアのドン、ヴィゴは焦りのピークに達していました。実は、ジョンをかつて殺し屋として雇っていた人物はヴィゴその人。殺し屋をやめる条件に最後の仕事として、何人ものヒットマンが送りこまれては失敗してきた危険な任務を押し付けたのも彼でした。その任務のおかげでここまでのし上がれた彼は、ジョンがどこまで優秀で、かつ危険な人物かを最も知る人物です。息子を殴り飛ばし、なんとか電話で説得するも、条件に応じるはずもありません。仕方なしに襲撃部隊を送り込むもあえなく壊滅。こうして、対マフィアの、ジョンのたった一人の闘いがはじまるのでした

 

 

 

今回キアヌが演じるのは、「地球が静止する日(2008)」で見せた優男とは大違い、怒りに震える狂戦士です。自分としては、彼とどうしてもゴルゴ13を重ねてしまうのですが、実際は全然違います。ターゲットはあくまであの夜自分を襲ったものだけに絞り、極力戦闘を避けるきらいがあります。自分に危害を加えられてもなお、ドンの排除は試みず、あくまで自分の復讐にこだわるのです。他にも、組織にいたころのなじみには情けをかけたり、抵抗しないものへの殺傷を避けたり、多くの殺し屋が反社会的な性格をしているのに対して、非常に人間的といっていいでしょう。それでもいきなり札束を燃やし始めたりするので結構危ないですが

彼以外の殺し屋にも注目です。硬派なアクションかと思いきや、いきなり秘密殺し屋クラブなるものが登場するのには焦りました。その筋では有名な殺し屋たちがジョンの復帰を暖かく歓迎します。この異形集団の集まりみたいな雰囲気、どこかで見たような気がするんですよね。「ハリー・ポッター」のダイアゴン横丁だったか、「ダレン・シャン」のシルク・ド・フリークだったか... 誰か教えてください

特にジョンウィックの裏で暗躍する、パンプキンボムを武器にしてそうな、あるいはベトナムのジャングルで天を仰いでそうな、親友マーカスはいいキャラしてるんでご注目を。この殺し屋クラブの設定だけでも無限にスピンオフが作れそうですね

 

 

 

話は単純明快な勧善懲悪モノです。敵側にも家族が~とか実は正義の~といったありがちな設定も一切なく、ただ悪いマフィアなので、頭を空っぽにして何も考えずに見られ、非常にスッキリ。映画を観る前は、てっきりスーツにハンドガンというジョンのいで立ちからこっそり忍び込むものかと思っていましたが、全くそんなことはありませんでした。正面玄関 から堂々突破し、明らかにカチコミには不向きのハンドガンをメインウェポンに敵をさばいていく。でもたまに力負けして投げ技をもろに食らうキアヌも大好きです

ほぼほぼ室内戦なので、棚や椅子などの障害物や高低差をうまく使って敵を鮮やかにさばいていく様は見ごたえ十分。その中でも特に、ロシアンマフィアの詰めるディスコクラブにカチコミ入れるシーンは最高でした。完全にゲーム「ホットラインマイアミ」です。みょんみょんしたサイケデリックな音楽と極彩色の照明のなか、次々と仕留めていく仕事ぶりには惚れます。車で来て車で去るっていうところもいいですね!

 

 

 

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凄い再現度

 

 

 

大人気強盗クライムアクションゲームPAYDAY2とコラボしていたのがこの映画を知るきっかけでした。3Dで登場したキャラクターモデルを眺めていて、ずっとなぜ顔に傷跡があるのか疑問に思っていましたが、映画を見たら納得がいきました。今では元気に強盗し民間人を殺戮していますが、ジョン的にはOKなんでしょうかね...

今回はここまでで。アクション映画なので細かい説明は読まず、とりあえず見てください。人が山盛りで死にますがグロさはなく、淡々とヘッドショットを決めていく感じなので気持ちよさすら感じます。続編の「ジョン・ウィック:チャプター2」が来年のはじめに来るらしいので、見るなら今がベストなんじゃないでしょうか。オススメしておきます

 

 

 

「極彩色」をごくさいしょくと、「憂き目」をうれきめと読んでいました。大事な場面でなくて良かった

「狐につつまれる」以来の衝撃です。にほんごむずかしいね