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人生®

ゲーム、映画、ゲーム

【映画】☆4 寄生獣

映画

 

 

レビュー16本目は寄生獣(2014)

評価: ☆☆☆☆ 

2部作の前編にあたります 気合い入り過ぎて4000字越え

 

人間の頭を乗っ取り人を食らう寄生生物と、乗っ取り失敗により脳が無事のまま右手のみ乗っ取られた少年、お互い寄生生物を宿しながらも全く異なる2種である彼らの戦いを描いたSFホラーアクション

 

 

 

はじめの紹介文は必ず1文に収めるようにしてるんですが、こういう一言では表せない架空生物が題材だと説明から入らなくてはならず難しい 冏rz

すごい日本語に違和感がありますが気にしない気にしない

 

 

 

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「わたしたちはいったい何のために生まれてきたのかしら」

地球のどこかで生まれた寄生生物、彼らがクラゲ型の殻につつまれ海から人間社会へやってくるところで映画スタート。一度卵が割れれば中から幼体であるつまようじが現れ、耳から侵入して頭へと向かい、脳をはじめとする組織をのっとって完成するのです。ちょうど「エイリアン」と同じ感じの生き物ですね。彼らのフェイスハガーは口腔内から消化器官に卵を産み付けていましたが。勘違いしてはいけないのが、寄生生物は地球産なんですよね。それこそエイリアンの一種だと思っている人が結構いて驚きます

そうなった場合、人間の頭を構成する細胞は骨から髪の毛まで全て「寄生細胞」に置き換えられ、ボディだけ人間のものを借りた全く別の生物へと変貌を遂げます。細胞の集まりである彼らは学者にして「考える筋肉」と言わしめる究極生物。瞬時の分裂変形何でもござれ、人間よりも高い知能をもち、言語などものの数日でマスターしてしまいます

人間の顔と言語を覚えた彼らは巧みに社会に溶け込み、次第に食うために人間を殺しはじめます。交じった彼らに気が付くはずもない人間たちは相次いで発見される"食べ残し"をミンチ殺人事件と報道しますが、真実を知るものは少なからずいるのでした

 

 

 

「この人間を攻撃するならお前を殺す!」

痛そうな刃の表現が上手い。寄生生物の主な攻撃手段は作りだした刃物による物理攻撃ですが、漫画では硬質化した細胞、骨みたいだったブレードの質感がセラミックの刃物のようなしっとりした感じに。ちょうどアロエのような、肉が詰まった刃物感?に溢れています。効果音も見事なものでした。刃が出るときのビュルッという音は思わず顔をそむけたくなるいや~な音です

自分の体(正確には頭)を変形させムチのようにしてたたきつける攻撃もうまく表現出来ていたと思います。特によかったのは反動の表現です。寄生生物同士戦う時は、棒立ちのまま高速で刃物をぶつけあうのですが、むやみに相手を切り付けるのではなく刃物ごとちゃんと役割があります。具体的には(心臓の)刺突用の槍のような刃、手足の筋狙いの小さい刃、そして切断を狙った鎌のような刃といった具合です。そしてその中で最も重要なのが、そんな敵の攻撃を受け流すための斧のように肉厚で頑丈な刃です。考えてみれば、そんな高速で動き回る刃を跳ね返せば、どちら側の触手も作用・反作用の法則で吹き飛びますよね。漫画では描写があまりないそんな動きが、映画ではCGでがっつり描かれています。一瞬行き場を失った触手が壁にべちゃりとぶつかるのには舌を巻きました。後述学校での戦闘シーンではぜひここをチェックしてみて下さいね

まあこんな感じに、肉眼ではとらえられない速度での戦闘は緊迫感に満ちていました。いとも簡単に金属製品やガラスそして人体をスライスしてくれます。日本最高峰のCG制作チームという売り文句にも納得です。当たり前ですが、観てて 当たりたくないなーと思う攻撃でしたね 冏..  ...rz

 

 

 

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「私の最も古い記憶は、君の脳を奪うことに失敗し残念、という感情だ」

そのうちの一人が、人間の高校生、泉新一です。というのも、彼は脳が無事なまま右手だけを寄生生物に食われた変わり種だったからです

話は戻ってある日の夜、一匹の幼体が窓から侵入、そこで横になっていた新一に狙いを定めますが、彼がイヤホンで音楽を聴いていたため耳からの侵入を断念。やむなく腕から強行突入しますが当然気付かれ、縛ったコードで遡上を阻まれてしまいます。その夜は新一も妙な妄想ということで片づけましたが、朝になって右手が動き、しゃべりだしたことで寄生されたことに気が付くのでした

自分のことを"右手に寄生したからミギ―と呼べ"、とのたまう彼は言葉をはじめとする人間の文化習性に興味深々。新一はミギ―に振り回される生活が続き、呆れ気味です。しかしながら右手に定着してしまった彼には新一の血液から養分を貰って生きるより道はなく、新一自身も彼を邪険に扱えば右手を失うことになるので、2人の間には友情というより、奇妙な共生関係が生まれていきます。そんな生活が続いていたある日のこと、ミギ―は"同種の脳波を感じる"と新一に告げ口、反応を追って料理店に行くことに。そこには脳を奪うことに成功した完全な寄生生物が存在するはずでした

 

 

 

「日本語の習得など、1日あれば十分だ」

ミギ―の声には賛否両論ありましたが、自分は悪くないと思います。むしろ阿部サダヲの吹き替えるひょうきんなミギーは結構自分好みです。強いて言えばもう少し無機質な昆虫っぽさが欲しかった気がしますが、多分誰が演じてもなにかしらの不満は持ったと思うのでよし。アニメ版の平野綾吹き替えも始めこそ違和感の固まりでしたが、終盤は全く気になりませんでした。要は慣れですね

ただ、寄生生物としての性格の変化はまったく求めていませんでした。彼らは名前とか名誉とか人間が尊重する一切のものに興味がないはずなんですが、自分で名前を決めるし、けなされれ怒ります。後編では「怖い」とさえ口にしています。感情自体持ち合わせない虫みたいな冷酷さがどこかにあったはずなんですが。改変自体は別にしょうがないといえども、こういう意図がわからない変更はどうにも好きになれないですね。原作フェチですみません。それでも自分から「ミギ―と呼べ」はどうかなーと思いますよ

 

 

 

「やっぱり共存なんて無理なんだよ」

ついに遂げた完全な寄生生物との邂逅。しかし彼は"食事中"であり、人間の脳が残った新一に気付くと彼を異常なほど警戒し、殺意を発します。自分の右手への"引っ越し"を提案するもミギ―は拒否、やむなく戦闘になり、殺害という最悪の結果に。寄生生物に出会えば殺し合いになる。それがわかった刹那、新一の通う高校に寄生生物「田宮良子」が教師として赴任。新一は戦闘を覚悟しますが、意外なことに彼女は彼を面白がり、様々な実験を行います。情報提供、他の寄生生物「A」「島田秀雄」との対面、そして生徒として「島田秀雄」を新一のもとへと送り込むこと。いわば外堀を埋められる形となった新一は不満げ。しかしそれは相手も同じで、ミギ―を見た「A」は新一の襲撃を決行、「島田秀雄」もあることがきっかけで暴走、新一と対峙します。寄生生物と人間との共存を考える「田宮良子」の試みは失敗に終わり、新一も仲間を3人殺したことで、いやおうなしに寄生生物との戦争に巻き込まれていきます。しかし、それとは別に、彼らの存在に気が付いた人間たちも戦争の準備を始めていたのでした

 

 

 

 

  「人間の命は尊いんだよ」「尊いのは自分の命だ」

 寄生生物むっちゃこわいです。敵意、というか殺意むき出しの時の彼らは切れ長の目が三白眼から四白眼になるのですが、役者の演技が迫真過ぎて思わず唾をのみこみます。「よくないなぁ...」とつぶやきながら距離を詰めてくる店主、「いーち、にーい」とこれから死体にする生徒の数を数える島田秀雄と、彼らの覚醒シーンは怖すぎです。「ユラァ...」という効果音が見えます。あの役者さんたち本当に人間なのか? クラスがテロリストに襲われたらどうしようという妄想は誰しも一生のうちに一回はするでしょうが、数秒でクラス全員を輪切りに出来るテロリストはどうなんでしょうか。ぜひ戦ってみてもらいたいものです

話間のインタビューだったかアニメ監督への取材だったかで、原作は携帯がない時代の話でうんたらかんたらという指摘があったのを記憶しています。商店街の薬局で働く母親や、アーケードにひっそりと息づく魚市場、屋台が並ぶさまなど昭和の香りをのこしつつ、しっかりタブレットやノートパソコンを登場させ、全く原作の古さを感じないです。しっかりと現代風に落とし込んでありました

ただひとつ、なぜ母親はなぜシングルマザー? しかもおばさん?

ミギ―によれば父親は既に亡くなっているようですが、なぜ父親を殺したんでしょう。真っ暗な部屋でウイスキーをすする親父さんは大好きだったのですが、削除する意味はあったのでしょうか。最も身近にいる無関係の者として、ミギ―のことを伝えるべきかそうじゃないかを悩むのはひとつのテーマだと思うのですが。公衆電話から「家からすぐ離れろ」と伝えた父親に理由を聞かれて、「ただ自分を信じて」としか言えないジレンマ、それでも息子を信じて家を出る父、いいシーンじゃないですか

母親も聖母マリアみたいな外見から肝っ玉母ちゃんみたいになってしまったのが残念。あんまり外見のことについてはとやかく言いたくはないのですが、もうちょっと何とかならなかったのかなぁとは思います。少なくとも深津絵里演じる「田宮良子」と同程度には美しかったはずなんですがね。それ以外のキャストは全く文句がないのですが、なにせ一番目立つもんですからここは評価を大きく下げました

 

 

 

「どこから来てどこへ行くのか、君はその質問に答えられるのか?」

 ということで納得できない改変があったため☆4で。アニメ版は凡作という感想でしたが、映画版であるこれは普通に楽しめました。原作読んでない人が見れば良くまとまってて面白いと思います。テーマ的にはちょっとグロイところはありますが(実際地上波で放映された際には大幅なカットを食らっていました)、ホラーの皮をかぶった人間?ドラマなんで我慢してみて下さい。生命とはなにかについて考えるいい機会になると思いますよ。気になったら10数巻で終わるんで、原作もチェックしてみて下さいね。超おすすめです

 

 

 

「母さん 今切り離してあげるからね」