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【映画】☆5 ハードコア

 

 

 

レビュー29本目は『ハードコア(2017)』

評価:☆☆☆☆☆ 

ネタバレします

 

 

 

この火炎放射兵がPAYDAY2にも出てほしい

 

 

 

一般公開日本最速で見てきました! アメリカでは去年公開の映画で失敗したらしく、いつか渡米して息子を探すレンタルしてやろうと思っていましたがまさか1年遅れで日本に来るとはびっくり。ただし邦題では「Hardocore Henry」からヘンリーが削除されました。一度死んだ=存在を抹消されたことへのテーゼなのか? ということで昨日は興奮で昼も眠れませんでした。夜は眠れました

もともとPAYDAYのコラボで知ったこの映画。自分の中で、PAYDAY2のキャラクターではJimmyが一番好きです。敵を倒した時の「I'll f●ck all of you!!」が衝撃的過ぎたんですよね。他のキャラクターはまだざまあみろ的なマイルドな表現なのにJimmyさんワイルド

そういう理由もあって、どんなにクソ映画だろうと絶対に劇場に足を運んでやると息巻いていたのですが、いい意味で見事に裏切られました。上のPVのお祭り騒ぎがずっと続く、非常に濃厚な90分だったと思います。あまり売れ行きが良くなかったという話やネット上での評価を見てしまっていておそるおそるだったのですが、もうね、大満足です!

 

 

 

あらすじ

全身のほとんどを失い、科学者である妻エステルの尽力でサイボーグとしてよみがえったヘンリー、しかし蘇生直後に超能力者エイカン率いる私設軍隊がラボを襲撃、妻を奪われてしまう。追い詰められ絶体絶命のピンチから彼を救ったのはジミーという謎の男、彼は敵の組織やヘンリーの体について熟知しており、妻を取り戻すため2人は血で血を洗う戦闘に身を投じていくことになる

 

 

 

映画の構成要素は星の数ほどありますが、この場合チュートリアル後に与えられた貴重なスキルポイントを「グロ」と「アクション」に全振りしてしまったバカな最高の映画だと思います。前者に関しては特に注意喚起等はなく。予告編トレイラーのようすから骨折とマイルドな流血表現くらいかと思っていたら、始まって30秒いきなり割れ瓶を腹に刺す、首にナイフをつき立てる。思わず「いきなり飛ばし過ぎで大丈夫か」と周りを見渡してしまいました。R-15+なのをすっかり忘れていましたが、なんて趣味の悪いオープニングクレジットなのだ(恍惚)

 

 

 

オープニングがこれなので本編はもうラーメン次郎もびっくりのグロマシマシです。登場人物はまず全員むごたらしく死ぬと考えてよい

榴弾でもぎ、ビルから突き落とし、鉄杭でめった刺しにし、電気柵に押し付け、日本刀で割き、グレポンでなぎ倒す。これがほんの一部。本編ではゆうに100人以上が死にますが、それぞれが新鮮で痛快?です。かといって陳腐で趣味の悪いグロテスクさとは違って、純粋に殺すための暴力の発散の結果という感じがして、非常に気持ちがいい(サイコパス)ジミーもヘンリーも殺人狂というわけではなく、向こうがちょっかいを出してきただけですもんね。純粋なダメージ表現としてスッと入ってくるので、別段気持ち悪くはなりませんでした

 

 

 

音響がいいのがあって射撃感はマックス! それはもう気持ちよくバリバリ撃ちまくり

FPS視点らしくヘンリーの武器選びにもこだわりがあるのか、狙撃銃からライフル、ショットガン、アキンボ(二丁拳銃)、グレポン、サブマシンガン、時にはカタナや投げナイフ、瓶、そして素手でも、攻撃方法が多彩過ぎる。とりあえず思いつくもの身の回りにあるもの全部使ってしまう精神は好きです。殺した敵の武器を次々奪う感じがまさにゲームみたいでよかった

それから一人称視点では敵の攻撃も死ぬほど怖い。殴られればカメラが揺さぶられ、流れ弾は目の前の段ボールを破裂させ紙吹雪を散らせます。普通の神視点の映画だと

狙撃されてあわてて遮蔽物に隠れるシーン、それからフルオート射撃を娼館のバーカウンターに伏せってやりすごすシーン、この2つは冷や汗が出ました。「ビシュッ」という着弾音がほんのすぐそばから聞こえ、破片が宙を舞う、本能的な恐怖を感じますね

 

 

 

トーリーはあんまり...。まあ妻をひたすら追いかけるだけなので可もなく不可もなくといった感じです。ただどうやっても敵わなさそうなエイカンがいとも簡単に敗れたこと、それから妻が裏切った=ヘンリーの今までの行動は全て無駄だったってのはあまりにあっけないかなと思います

エイカンに関してはビルを傾けるほどのESP能力を発揮し、「うおお最終決戦だ」と盛り上がった直後、その辺の雑魚集団より早く片づけられたのは残念。もうちょいこうフォースを有効活用した戦闘シーンで有終の美を飾ってほしかった。キャラデザと性格は良かっただけに使い捨て感がありますねえ

 

 

 

金髪美女は裏切るの法則通り美人妻エステルも裏切りましたが、そこからの行動ですよね。ヘリのへりから落ちそうになり助けを乞うエステル、すべてはウソであり、ヘンリーの行動は「サイボーグ兵士はどこまで頑張れるか」というテストプレイに過ぎなかった。 シナリオ通りならを助けるはずが、ヘンリーは妻を落とすことを選択します。でいきなりエンドロール。結局何も残らなかったと考えるよりも、自分はこうすることでやっと作られたシナリオを抜けだし、自分の人生を歩みだすというハッピーエンドだと思います。むくわれないといえば全く報われないですし、市街地で好き放題した彼はどこまでも追われる身になるでしょうが、少なくとも自由は手に入れた。これでよかったのでしょう

 

 

 

ただジミーが絶対の善人なのが今作の救い。ピンチに陥ったヘンリーを何度も救い、時には武器を貸し、共闘し、進むべき道を指し示す。そして最後には、ヘンリーの消された記憶をよみがえらせ、本当の自分を取り戻すように告げ息絶える。イケメンすぎます。始めはただの気狂いにしか見えなくとも、彼がこの物語の唯一の救いになっています。途中仲たがいした時に彼も敵に回ってしまうのかと思いましたが、彼だけは最後まで信じられる仲間でよかった

 

 

 

絶対に一般向けはしないですが、FPSシューターが好きなゲーマーには絶対に見てほしい作品です。特にPAYDAYファンには、見慣れたバンや警察とのいざこざ、テーザー銃を食らったり、娼館の引き出しにJimmyのマスクが入っていたり、「おっ」となれるシーンが結構あるのでぜひチェックしていただきたい

観ているうちに完全に没入してしまいます。息をするのを忘れるほどという言葉の通りだと思います。爆音の銃声はぜひ映画館で体感していただきたい。最後エンドロールで一瞬ジミーからの電話が入るのは続編のための布石でしょうか。ジミーの性質上いきなりひょっこりあらわれてもおかしくはないので、2もぜひこのコンビで暴れまわってほしいですね。おおいにオススメ!

 

 

 

 

 

 

 

【映画】☆5 チーム・バチスタの栄光

 

 

 

「バチスタでは手術のために一度患者の心臓を止めます

 いわば、私は一度人を殺す」

 

「一連の術死は単なる医療事故なんかじゃない。殺人だ

 チームバチスタの中には人殺しがいるんですよ」

 

 

 

 

心臓手術前には絶対見てはいけない映画9年連続No.1、『チーム・バチスタの栄光(2008)』の感想レビュー、はじまるよ!

評価:☆☆☆☆☆ ピロリロリ ピロリロリ

 

 

 

 

名作しか作れない男・海堂尊と、名演しかできない男・阿部寛、この二人が出会ったらその勢いはアンストッパブル

原作を全て、ドラマ版も飛ばし飛ばし見たはずでしたが結末まで忘れるというこの役に立たない大脳。一度MRIで頭蓋の中を見た方がよさそうです

でももう一度楽しめたのでセーフ。記憶を消して~したいとはよく思いますが、本当に記憶がないとかなり参りますね 冏rz

 

 

 

あらすじ

成功率60%の難しい"バチスタ手術"を1年で26連勝させてきた桐生率いる『チームバチスタ』だったが、3例続けての不審な失敗に桐生自ら調査を依頼、心療内科医の田口・厚生労働省の白鳥はコンビを組んで『チームバチスタ』の中に犯人がいるとにらみ、調査を進めていく。

(医療ドラマ/ミステリー映画)

 

 

 

映画版では『チームバチスタ』メンバーに絞ってもどうしても個々の人物にスポットを当てづらく、重要な取材の尺も数分で終わってしまうのですが、それを俳優陣の演技が完璧にカバーしています。役者はいつものって感じのベテランで流石名演技。玉山鉄二が霞むような重厚なメンバーが勢ぞろいです

特に、もう離してくれなさそうなたくましい腕の桐生先生(吉川晃司)や鉄塔の頂上まで追いつめてきそうな麻酔医氷室(ココリコ田中直樹)、この2人の配役には拍手を送りたい

竹内結子演じる主人公の田口と、阿部寛演じる白鳥のコンビですが、自分はドラマ版よりも好きです。というより、ドラマの中村トオル版の白鳥はいちいちカッコよすぎるんですよね。阿部版のほうがひょうひょうとしている感じがあって自分は好きです。ドラマ版と違って田口先生は女性に変わっていますが問題なし、原作通りだと機械出しの看護師以外全員男になってしまうことへの対処でしょう。しかし性別を変えたことによって田口のお人よしさテンポのずれた呑気さが増幅されていてよかったです

 

 

 

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好きなシーンの紹介に移ります

27例目の緊張感はひとしお。調査を始めてから初の施術、さらには患者は反米ゲリラの少年兵、アメリカでの治療を断られてこの病院へやってきた経緯もあり、病院の威信にかかわる重要な手術です。国内外からメディアが注目する今回は、4例目の失敗は許されません。手術室のメンバーは口には出しませんがみなそれをわかっています。そんな状況の中での手術シーンでは手に汗を握りました

 

 

 

それから28例目の失敗後、田口が廊下に泣き崩れるシーン。田口は患者との思い出もあり号泣。それをしり目に『バチスタ』メンバーが順次去っていくところがキャラクターをうまく表現で来ていると思います。ベテランの『チームバチスタ』はいちいち患者の生き死にに対して感情を爆発させたりはしないのです。慰めに来る桐生、我先にいなくなる垣谷、桐生を待つ鳴海、そして田口を気にかけながらもあわてて後を追う大友、素通りする白鳥。ピントの合わない画面の奥でもこういう細かい演技をさせるともうたまらない

 

 

 

それからこの作品、邦画には珍しくカメラが気持ち悪いぐらい動いて好きです

再鼓動が来ず慌ただしくなる『チームバチスタ』から取り残されるように田口に迫るカットとか(28例目)、桐生に過去の手術のビデオを見せるときのカメラの切り替えとか、画面作りがしっかりしていてのめりこめる

総評すれば、2時間のクソせま枠でようここまで詰め込めたなと思います。ハイ事件、ハイ謎解き、でこいつが犯人ね、オワリ!という展開を急ぐ強引さはなく、ミステリーとして十分に楽しむことができます。もう心臓バックバクです。桐生をして「再鼓動が来なかった時の恐怖はそこにいるものしかわからない」と言わしめる恐ろしさを映像で完璧に表現で来ていたと思いますよ。医療機器のアラート音ってなんであんなに怖いんでしょうか。いやたぶん怖がらせるためのアラートなんでしょうが...

2重3重のトリックにミスリード、隠された真実、もともとの完成度も高いのですが映画でも見事に拾えていました。気になったのは阿部寛が「しゅじゅつ」を絶対に噛まないことと、MRIの発音が「山洗い」にしか聞こえなかったことだけです。満点!

 

 

 

 

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シンテイシダヨ シンテイシダヨじゃ駄目ですか...そうですか...

 

 

 

この映画の監督は『ゴールデンスランバー』でも監督を担当しています。こっちもミステリーものとして非常に面白いのでおすすめ。暇つぶしの軽い気持ちで見た映画がここまで完成度が高いとは驚きです。原作ファンでも大満足、先が気になって最後までぶっ通しで見てしまいました。ベストセラーの映画化は基本はずれないんですよね。ということで、この流れで次作の『ジェネラル・ルージュ』もチェックしてきます

 

 

 

しかし、こういった医療ドラマを見たあとしばらくは変に心臓の動きを意識してしまうんですよね。こういうの医学用語で何というのでしょう。不随意筋なんで意識したところでって話ですが

みなさんも寝る前に、心臓の鼓動を意識してみて下さい。妙に早い気がする、いきなりピタッと止まりそう、死ぬってどういう感覚なんだろう。だんだん不安になってきましたよね? そんなことを考えてたら眠れなくなってきましたよね? そこでこれ、『チーム・バチスタの栄光』ですよ!! 1本いいの見てぐっすり眠りましょう! オススメ!